質問
2019/04/20 10:55 作成

特許出願をしたいと思っていますが、個人でする場合、書類の不備などで成立しないこともあるでしょうか?また特許事務所に頼むという手もあるかと思いますが、メリットはどんなものがありますか?

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回答 1 件
2019/04/22 15:50 作成

▼成立しないことがあります。仮に成立しても、狭い権利になることが多いでしょう。

▽特許出願の書類は、細かい様式が決まっています。様式を整えるだけで苦労されると思います。これは調べれば何とかなるかもしれません。

▽特許出願は、『明細書』と『特許請求の範囲』という書類を必ず提出します。これを書くのが見た目以上に難しく、初心者では十分なものができないでしょう。

▽『明細書』は、特許発明の技術内容を詳しく書きます。
 原則として、技術を文章で説明します(必要に応じて『図面』を添付)。つまり、非言語なものである「技術」を言語化します。誰でも子供のころから使っている日本語です。でも、これを書くには、けっこうな特殊技能が必要です。
 たとえば、自転車のブレーキを考えてみましょう。「ハンドルについたレバーを引けば、それがワイヤーで伝わってゴムがリムを挟む」という程度では、明細書に必要なレベルで言語化したことになりません。レバーの構造はどうなっているか、レバーをどの方向にどの程度引くか、ワイヤーはどのように力を伝えるのか、そのときワイヤーを通すチューブと中のワイヤーはどのような力学的な関係なのか、ブレーキ本体の構造はどうなっているか、ワイヤーで伝わった力はブレーキ本体をどのような仕組みで動かすのか、その結果ゴムがどうリムに作用するか…など、すべて逐一ことばで説明しなければなりません。
 プロが書いたものは、あたりまえのことがあたりまえに書いてあって、するする読めてしまうかもしれません。でも、慣れない方が書こうとすると、十分に言葉にならないでしょう。小説がすらすら読めたとしても、書けませんよね? 同じことだと思います。

 また、自分にとってあたりまえのことであればあるほど、ことばでは説明できません。
 たとえば、助詞の「は」と「が」は、日本語ネイティブならあたりまえに使い分けて間違えません。これ、どんな基準で使い分けますか? どういうときに「は」で、どういうときを「が」にしますか? 明確なことばで説明できるでしょうか?
 技術も同様です。その分野のエキスパートになればなるほど、その技術についてあたりまえのことが増えます。膨大な非言語情報が、ごく当然のこととして意識されなくなります。それを逐一ことばにするのが困難になるのです。

▽『特許請求の範囲』は、特許発明について、権利範囲を明らかにします。
 権利取得したい技術を、日本語で文章化します。あくまで言葉がベースです。図面は使えません。これをどう書くかで、権利が狭くなったり、不明確になったりします。
 たとえば、写真加工システムで、特許請求の範囲に『加工した画像をプリントすることを特徴とする』と書くと、「プリントせずに画面に表示するだけのタブレット」は、原則権利に入りません。「画像をプリント」しないからです。
 解りやすい例なので、自分はそんな書き方はしない、と思われるかもしれません。でも、このようなことはよく起こります。扱うのが言語なので100%の正解もありません。プロでも非常に気を遣うところです。
 特許請求の範囲では、技術を抽象的にとらえ、汎用性のある言葉をナチュラルにつかって書く必要があります。技術者は、開発した技術の具体的な状態をそのまま言葉にする傾向があり、権利範囲を狭くする傾向があります。また、自社で使われる言葉をそのまま使い、一般に通じない不明確な表現になることがあります。

▽特許事務所に依頼するメリットは、上述した不利益をおおむね回避できることです。


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