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谷町6丁目にビーガン料理を提供する保護猫カフェ「neu」が新たにオープン。ビーガンと保護猫そしてTNR活動。このお店を中心にどんな活動をしていくのか?店主山本さんの想いを知る

2019.04.30

 

個人店が賑わう谷町6丁目に新しい保護猫カフェが今年オープンした。名前は「neu」。昔は猫の鳴き声を「ニャー」ではなく「ネウネウ」と呼んでいたところから名付けたそう。しかし、昔を思わせる名前と古民家を改装したカフェのメニューはオールvegan。しかも内装は男性1人でも入りやすいスタイリッシュな雰囲気。そんなニューウェーブなお店を始めた女性店主の想いとは?

山本 裕加里 - Yamamoto Yukari

保護猫カフェneu オーナー

「veganと保護猫活動は私にとって近い所があるんです」

~ 保護猫カフェ「neu」の立ち上げ ~

インタビュー1

「何か猫や動物の為にできることはないかなって。それで始めたのがTNR活動ですね」

~ 捨て猫・ペットショップ・TNR活動の現状 ~

インタビュー2

「ここで猫と遊んでくれるお客さんは、間接的に保護活動してくださってるようなものです」

~ 一匹でも多く猫の殺処分数を減らすために ~

インタビュー3

「veganと保護猫活動は私にとって近い所があるんです」

~ 保護猫カフェ「neu」の立ち上げ ~

  ───  自己紹介として、カフェを出すまでの簡単な経緯を教えて頂けますか?

山本ゆかりです。昔から動物が好きでした。中学1年生ぐらいの時に、インターネットでたまたま動物の現状、犬猫の殺処分や動物実験、毛皮等が載っているサイトを見て衝撃とショックを受けました。その時はまだ自分では何もできなく、「いつか貢献できる何かができたらいいな」とぼんやり思い始めました。 それで、大人になってまず野良猫ちゃんの不妊手術をしようと始めたのがTNR活動(野良猫を捕獲して〔Trap〕避妊・去勢をし〔Neuter〕元の場所に戻す〔Return〕野良猫の殺処分数を減らす活動。避妊、去勢された猫の耳先にはカットがあり、印となっている)なんです。それをしていくうちに「保護した猫ちゃんを新しい飼い主さんに繋げられる場所があればより多くの子が幸せになれるのにな」と思いながら活動を続けて、そして実際に保護猫カフェを出すということになりました。

  ───  この場所を選んだのは?

私の中では絶対に古民家がいいと思っていたんです。古い街並みと猫っていい雰囲気じゃないですか。始めは大阪市北区の方で探してたんですけど、北区は動物系のカフェが沢山あるし。 他の猫カフェさんや保護猫カフェさんの邪魔にならないようにとおもいました。他の猫カフェがなくて、古民家が今も残っている場所を考えて、空堀を見に来たらすごく気に入りました。

空堀の一発目の物件が今のお店でした。「面白そうなトンネルの物件ありますよ」と不動産会社の方に言われて(お店に行くために小道に入りますが、そこがまるでトンネルのようです)。「こんな場所に猫カフェがあるのは面白いんじゃないかな」と思って。

  ───  なるほど、ありがとうございます。山本さんはお店ではどんなことをされていますか?

基本は猫のお世話です。部屋の掃除、健康チェック、それとお客様にこの子(猫)達の特徴や説明ですね。カフェメニューもあるのでご飯も作ります。保護猫カフェの最終的な目標はこの子たちを新しい家族に出会わせてあげること。そこが猫カフェと保護猫カフェとのシステムの違う所かな。なので私の一番の仕事はここにいる猫の新しい家族を探すことです。

  ───  そのかたわらお客さんにドリンクや料理を提供したりするのですか?

そうですね。5月からはご飯が始まっています。ご飯の内容はvegan(完全菜食主義者のこと。肉・魚・卵・乳製品など動物性食品を全てぬいた料理を食べる)料理です。猫カフェに遊びに来てもらったついでに「vegan料理って食べたことないし食べてみよっか」って軽い感じで、vegan料理について知ってもらえたらと思いました。

  ───  他のお店との違いは何か意識されていますか?

男性客も入りやすいお店です。

私のイメージで、猫カフェさんって女の子同士や、家族連れが行きやすいイメージがありました。「男の人も入りやすいお店にできたらいいな」と思っていて。男性の方もゆっくり居れるお店ができたらいいですよね。勿論女子同士や家族連れも大歓迎です。

  ───  保護猫達と遊んで食事をしてもらえたらいいわけですね

そうですね。この地域はゲストハウスも多いんで、外国の方も、来てくれたらいいですね。veganの方達は日本に来ても、食べるものないから困ることが多いみたいです。大阪はまだまだお店も少ないですし、旅行中にコンビニのおにぎりばっかり食べてたという話も聞きました。そんな方達の食べれるお店の選択肢がちょっと増えたらいいかな。

  ───  veganの人を増やしたいですか?

まずはveganを知ってほしいですね。「veganって何?」って聞かれることがすごく多くて。飲食店で働いている方でも知らない人がすごく多いんですよ。「vegan対応のメニューってありますか?」って聞くと、「veganって何ですか?」ってよく聞き返されます。「まずそこからか」ってなりますね。なのでまずはveganという言葉を知ってもらえたら嬉しいですね。

  ───  ところでなぜ猫とvegan料理なのでしょうか?

私が猫が好きなveganだからです。

お店やっていく中で、完全菜食主義のveganカフェと肉食動物の保護猫って「矛盾してるんじゃないか」って言われてたことがあったんです。たしかにそれも一理あります。ただveganと保護猫活動は私にとって近い所があるんです。veganの方は環境面や健康面、倫理面様々な理由でveganになると思いますが、私の場合は倫理面でveganになりました。「動物がかわいそう」だからveganになり「外猫を幸せにしたいから」保護猫カフェを始めました。好きなことを2つ一緒にしたんです。

それにvegan生活をしていると、ものすごく食べるお店に困るんですよ。きっと私と同じような人が他にもいるし、お店の選択肢が増えたらいいんじゃないのかなと思って、veganの方も食べられるご飯を出すことにしたんですよね。

「何か猫や動物の事でできることはないかなって。それで始めたのがTNR活動です」

~ 捨て猫・ペットショップ・TNR活動の現状 ~

  ───  このお店をオープンするきっかけになったことってありますか?

先程お話ししたTNR活動ですね。その活動を始めたのがお店を始めるきっかけになりましたね。TNRの捕獲時、捕獲機を使って捕まえるんですが、手術ができないくらいの子猫が捕まる場合や負傷猫の場合、保護せざるをえないというか。 その子をリリースしてしまったら、次捕まる保証なんてありませんし「保護できる場所があればな」と思っていました。それに捕獲器に入った子は大概ものすごい警戒心があるんですが、稀に野良猫なのにめっちゃ人に慣れてる子とかがいてて。 人馴れしている子達は里親さんが決まりやすい場合もありますし、リリースしても人馴れし過ぎて虐待目的で連れ去られたりする場合もあり得ます。となるとやっぱり「保護する場所がいる」ということになるんですよ。それでいっそのことカフェと一緒にしちゃえと思って。

  ───  TNR活動ってイメージ以上に大変というか、体力もすごくいりそうですね

そうですね。体力とか時間とか。TNRをされている方は年配の人も多くて、1回TNRするだけで2、3日間必要になります。捕獲するのに1日。病院搬入で1日、で退院してリリース時に1日と合計3日かけてやったりとかする所もあります。となると、普段お仕事をされている方は頻繁にできないですよね。捕獲、搬入、リリースと全部別の方で協力してTNRを行う場合もあります。

  ───  今から保護猫活動をする人が増えるような状況だと思いますか?

里親になるという選択肢はどんどん増えると思います。有名人が保健所から引き取ったり、TVで保護活動が取り上げられたり数年前じゃ考えられなかったと思いますし。

私自身、生体販売は賛成ではありませんが、生体販売をするならせめて販売基準を設定して欲しいですね。例えば一人暮らしの高齢者の方がペットショップで子猫を買った場合、猫は15年ぐらい生きるわけで。「人間の寿命と猫の寿命がどっちが長いですか?」となりませんか。猫の方が長い場合もありますよね。そうなると生涯飼育ができていないことになります。残された猫はどうなるんでしょうね。

誰にでも売ってしまうペットショップは間違っていると思います。命を買うということに責任を持たないといけませんし、売る側も基準を設け質の良い方を見つけないといけません。なにがあっても一生涯大切にできる人でなければ動物を飼う資格ありません。いくらTNRを頑張っても、どんどん新しい命を作って誰にでも売っていれば不幸な命は減らないですよね。ペットショップで買う前に里親になるという選択肢も増やして欲しいと思います。

  ───  今はそういう時にルールはないんですか?誰にでも売っていいんですか?

優良なブリーダーさんから適当なペットショップまで幅広くあると思います。ただ、可愛い子猫や子犬の裏側には、ずっと光も浴びずに狭い所に閉じ込められて妊娠させられて、子ども産まされ、すぐに子供と引き離され、また妊娠させられるお母さんがいる事を考えて欲しいですね。もちろん悪質なところは一部ですよ。ペットショップで買った子達たちのことは命がけで愛する人がいっぱいいるのに「その子達のお母さんにはなぜ光は当たらないんだろう」っていつも思ってます。

  ───  難しいですね。良い環境づくりができたら本当にいいですね。
  ───  話は大きく変わりますが、子どもの頃はどんな子どもでしたか?

めちゃくちゃ、活発でした。外で1人で遊んでました。勉強あんまりできませんでしたね。運動神経良かったですよ。そして、やっぱり生き物がすごい好きで。子どもの頃はワンちゃんとか猫ちゃんを飼えない状況だったのでハムスターとか飼ってました。ザリガニ、カタツムリ、カエル虫とかベランダで。そのころから生き物好きですね、今思うと。

  ───  犬猫を飼えなかった理由っていうのはありますか?

実家が飲食店で、店と家が一緒になっているので室内飼いができないという理由でダメでしたね。それは正しい選択だったと思います。カフェの子達も完全室内飼いを譲渡条件に入れてますので。

  ───  初めて犬ちゃん猫ちゃんに接した時っていうのは、記憶あります?

あります、あります。小学生の時は商店街とか路地に捨て猫が結構いましたね。全く飼育知識もないまま隠れて牛乳あげたりとかしました。

  ───  持って帰れないですもんね、家に。

そうそう、絶対飼ったらアカンって言われるんで、隠して育ててましたね。

  ───  そんな子ども時代の経験が今の仕事とつながる所はありますか?

まずは猫好き。私、今話してて思い出したんですけど、小学校の頃、野良猫を探し歩いてましたね。「野良猫おらへんかな」みたいな。そのときはただ可愛くて触りたくてその時だけで満足してました。

中学生になって、殺処分の現状を知って、すごいショックを受けて「あんなかわいい子達がこういう目に合うこと もあるんだ」って。でもその時の私には、行動力もないし、何からすればいいか全く分からずモヤモヤ抱えてました。

そして20代前半の時に一匹猫を保護したんですよ。

  ───  そんな子ども時代の経験が今の仕事とつながる所はありますか?

まずは猫好き。私、今話してて思い出したんですけど、小学校の頃、野良猫を探し歩いてましたね。「野良猫おらへんかな」みたいな。そのときはただ可愛くて触りたくてその時だけで満足してました。

  ───  保護?

実家の排水口に挟まっていたんです。その子を助けた時に後ろ足が動かなくて、衰弱して逃げる気配もなくて。で、悩んだあげく保護しました。その子は障がいを持ってました。下半身が不自由なんで排尿が自分でできないし、毎日カテーテル導尿してます。猫との生活をその子で学んで、その子を通して保護猫のことに目を向けるようになりましたね。保護したときは生後約2ヶ月だったんです。でも後ろ足が動かない子が2カ月間生きていけるわけがないんですよ。てことは捨てられたのか、途中で事故にあったかですよね。

それが猫を飼うきっかけになって、そこから、野良猫の現状を知って、「何かできることは?」と思って愛護団体さんへ寄付をしたりとか。

中学の時の友達も、すごく猫が好きで「何か猫や動物のことでできることはないかなって思ってんねん」って話をしたら彼女も同じ事を考えていたみたいで、凄いタイミングでしたね。それで、一人ではなかなかできなかったTNRをやってみようっていう流れになりました。

  ───  周りで興味を持った人が集まるものなんですね。今も一緒に活動されているんですか?

今は私お店をやってるんでほとんど動けないんですけど、一応「あにまりー」というグループでTNRの活動はしてますね。一人でTNRって難しいんです。夜中とかに捕まえたりするので、夜中に公園一人で行くとか、なかなか勇気がいりますよね。なので1人でばんばんTNRしている人は本当に尊敬します。

  ───  捕獲器で捕まえるんですよね。

はい。捕獲器を設置したらその場を離れられないのであとはひたすら待つだけですね。で入ったらすぐ回収するという。捕獲器を仕掛けたまま帰ったりとかは絶対ないです。捕獲器設置中は近くにいるっていう。そんなん夜一人でやってたらめっちゃ怪しい人ですよね(笑)

  ───  やっぱり夜中でしかできない事なのですか?

猫がお昼とか人通りが多い時とかにはあまり出てこないから、基本は夜か朝ですね。あとは毎日を餌あげてる人がいるじゃないですか。餌やりさんと協力して捕獲しますね。餌やりさんがいたら猫が出てきてくれるので、その時に捕獲器を設置します。チームプレイみたいな感じですね。私がパッと行っても猫全然いないのに、餌やりさんが来るとわらわら出てくることがよくあります。えさやりさん協力の捕獲の方が効率よくいけるんです。

  ───  色んな協力の仕方があるんですね。保護猫活動のこともよくわかりました。ありがとうございます。

「ここで猫と遊んでくれるお客さんは、いったら保護活動してるようなものですよ」

~ 一匹でも多く猫の殺処分数を減らすために ~

  ───  では、猫たちにとってはお店にはどんな人に来てほしいと思っていますか?

保護猫カフェなんで、新しい家族を迎えようと思っている人ですね。あと、猫好きな人。猫が好きだけど飼えない人も多いです。飼いたいけど、家族アレルギーとか賃貸でダメとか。理由はなんでもいいです。お店に来てくださって保護猫に興味を持ってくださったら嬉しいですね。

保護猫カフェって普通の猫カフェさんと違って、元野良猫じゃないですか。ってことは凄い警戒心のある子とかもいるんですよ。上にいる子達は触れない子もいます。

  ───  上っていうのは?

猫タワーの上で、人が触れない所に固まっています。「もうお願いやから近寄って来んといて」みたいな感じで。今のメンバーは、まだ慣れてない子が多いですね。

  ───  どうやったら慣れるんですか?

猫タワーの上にいる子が慣れるのはお店に遊びに来てくれるお客さんのおかげです。お客さんが猫達と遊んだり、触ったり、人の出入りが多いと、自然と人のいる環境に慣れてきます。猫タワーの一番上から一段一段降りてきて、下におりてきて、床で寝ころべるようになれば、「よしっ」って思いますね。更に慣れる子は膝の上に乗るってくれるようになります。嬉しいですよね。

「この猫のために来てる」っていうお客さんもいます。「この子が触れるように慣らしてあげたい」って言ってくださる方もいらっしゃいます。そういうお客さんは間接的に保護活動してるようなものですよね。だって、慣れてない猫ちゃんを慣らしてくださるお客さんのお陰で、猫たちが慣れて、触れるようになれば、人馴れしていない猫よりも里親さんが見つかる確率が高くなりますから。だから、今、お客さんが猫を慣れさせてくれて、慣れた猫を新しい家族のところに渡せれるっていう流れができているんです。私一人では出来ません。

  ───  素晴らしいですね。いい流れですね。

そうですね。「お客さんが来てくれる」=「猫の人馴れ訓練になってる」っていうことですね。元野良で最初から甘えて膝の上に乗る子なんて、ほとんどいません。お店をオープンした時、最初から下に降りてきてた子は1匹だけでした。みんな猫タワーの上でした。最初は全然降りてこなかったけど、徐々に慣れて降りてきて、下で寝ころんだり遊んだりできるようになりました。

  ───  みんなお客さんのおかげで慣れていくんですね。では最後に今後のビジョンはありますか?

そうですね。「一匹でも多く新しい家族、里親さんを見つけてあげること」ですね。あとは保護猫の現状を知ってもらいたいですね。

お店をしなくてもTNRも里親探しもできるんですよ。それでもお店にしたのだから個人で活動している時より多くの人に知ってもらわないと意味はないですね。だからどんどん、保護猫の事を発信していかないと。

  ───  なるほど、発信ですね。

はい。あと、私はお店をしながらTNRもやりたいんです。猫ちゃんの不妊手術も再開して、保護猫カフェと両方やっていきたいですね。不妊手術をして子猫の殺処分を減らしながら、保護された子猫の里親さんを探してお渡しするっていう両方からやっていった方が、殺処分も減りますし、幸せな子が増えますしね。

 

保護猫カフェneu

 〒542-0012 大阪市中央区谷町六丁目17-5

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インタビュアー:Hamashima Hiroyuki

元小学校教諭のコーチングファシリテーター、インタビューといったウェブメディア事業の企画担当


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